年 | 月 | |
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1984 | 3 | 大阪大学 基礎工学部情報工学科卒業 |
1986 | 3 | 大阪大学 基礎工学研究科情報工学専攻 博士前期課程修了 |
1986 | 4 | NEC 入社 中央研究所 C&C 研究所 所属 |
1992 | 7 | NEC 中央研究所 主任 |
1999 | 7 | NEC C&C メディア研究所 主任研究員 |
2004 | 3 | 大阪大学大学院 情報科学研究科 博士後期課程 修了 博士号( 情報科学 )取得 |
2012~2015 | 4 | 東京工業大学大学院 情報理工学研究科情報環境学専攻( 機械系 ) 客員教授 大学院での講義および大学院学生の研究 主指導教官 |
2015~現在 | 4 | 名古屋大学 情報基盤センター 教授 情報科学研究科 教授兼任 |
本論文は、1994年 当時にはまだ概念すらなかった「オーバレイネットワーク」をATM 網 の上に構築するというアイデアを示し、性能評価で有効性を示した論文である。従来は、網内ではパケットの遅延をいかに小さくするかというミクロな観点で、ネットワークの品質制御を行っていたが、本提案では、データファイル( バーストデータ )というマクロな単位で、通信性能を考慮した場合には、このバーストデータ単位にてストアアンドフォワード方式で網内転送したほうが効率的であることに着眼した。 このストアアンドフォワードを既存の ATM 方式は変更せず、 ATM 網上にて、Burstserver と呼ぶサービスノードでオーバレイネットワークを構築することで、実現することを提案している。
オーバレイネットワークを用いた QoS 制御方式について述べた招待論文である。 オーバレイネットワーク技術を用いた QoS 制御のフレームワークを述べると共に、国内外の最新研究をサーベイし、さらに、著者らが提案しているセッションオーバレイネットワークについて述べている。これまで、 QoS 制御のフレームワークを体系だって述べた文献がほとんど無い中で、本論文では、低位レイヤから高位レイヤまで考慮した中継オーバレイノードの役割などについても論じており、 QoS 研究者のみならず、オーバレイ技術者に大いに役立ったものと思われる。本論文は、ソフトウエア試作により効果を検証しており、これによるビジネス製品化につながった。
( 電子情報通信学会通信ソサエティの英文論文誌 Best Tutorial Paper Awardを受賞 2007年9月 )
本論文では、無線 LAN での通信品質制御について議論している。無線 LAN の標準方式である CSMA/CA は自律分散処理制御であるため、 uplink 側 つまり端末からの送信トラヒックを制御する目的のためには、従来の品質制御においてでは、ユーザ端末を改造するあるいは 802.11e のような優先制御パラメータを適応的に制御する優先制御の提案がほとんどであった。これに対して、本論文では、基地局( アクセスポイント )の MAC フレームの送達確認( MACフレームのACK ) を操作することのみで、端末には改造を加える必要無しに、端末の uplink の通信を優先制御する方法( ROC:Receiving-Opportunity Control )を提案し、その有効性を評価している。さらに、この ROC 機能を持つ機材をアクセスポイントの側に設置するだけで、基地局さえも無改造で同様の制御を実現できることも示した。本論文は、基本アイデアと基本性能を示しており、その後の論文( 論文誌論文3件、国際会議9件 など )で、詳細な性能評価や試作機を用いた実機評価など、実用性検証も行っている。
本論文では、パレート最適という経済学で良く使われる理論を無線通信に適応した場合に、その最適化を拡張するには、ユーザをも制御対象にすべきであることを提案している。無線通信では、ユーザと無線基地局の位置関係で通信品質が異なり、また周波数リソースの利用効率も大きくことなる。そこで、ユーザ自身の通信品質を改善するために、ユーザに移動を勧める。ただし、移動にはそれなりのコストがかかる。移動意思額( Willingness to Move ) という概念でコストと品質改善のトレードオフを調査し、またインセンティブメカニズムについてのアイデアも盛り込んでいる。本研究は、1企業、7大学のコラボレーションで行われた。